Q. 自社の社員に法規制に詳しい人間がいない。どうするべきか?

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法律関係の話は失敗した時のリスクが極めて高いです。したがって必ず専門家の意見を聞く必要があります。

とはいえ立ち上げたばかりのスタートアップなどではそういうツテが無いことがほとんどではないかと思います。 以下にいくつか具体的な問い合わせ先の探し方について書いておきます。

<生産に向けての十分な資金がある状況>

規格関連の情報を提供したり具体的な申請作業の代行をするエージェントという仕事があります。 大掛かりな組織としてやっている会社もあれば、フリーランスのような形で仲介をしてくれる方もいます。ネットで軽く調べてみればいくつも出てきますのでコンタクトを取ってみると良いと思います。

一点付け加えると、より確実性のある情報を得るために複数のエージェントと付き合うことをお勧めします。法律関連の情報はナマモノでありコロコロ変わります。それを的確に押さえている方もいれば、押さえていない方もいます。 いくつかの会社あるいは個人とお付き合いしてその感度の高い方、高い組織を見極めてから依頼するように進めることでより確実性を高めることができます。

<立ち上げたばかりで全くお金が無い状況>

エージェントに依頼するにはお金がかかります。仮にそれが数十万円だとしても、それが出せない、という時期は当然あります。 そのような場合でもできる限り確実性の高い情報を得ることを諦める必要はありません。 例えばまずひとつはステークホルダーを利用する方法が考えられます。 株主であったり提携企業であったり、あるいは顧問などから彼らの知識と経験を聞く方法です。 株主が大企業であれば彼らが持っている部門の力を借りることは十分に考えられます。

また個人であっても多様な経験の持ち主であれば(特に経営者であれば)製品をリリースする上での勘所についてその人なりのポイントを助言することが可能なはずです。 なお他の項でもステークホルダーを活用する方法について提言することは多いですが、逆説的にはこういうシーンで利用価値のある株主や関係者を選んでおかなければならないと言い換えることができます。ただ金をたんまりくれる人からありがたやともらうだけではダメなのです。

また別の角度では、同一カテゴリの製品開発に関わっている(特に大きな企業で)友人に聞いてみるのが良いと思います。 規格関連の情報はあくまで公開情報であり秘匿事項ではないため、それらに関する一般論を話す分には何も問題はありません。ただし、その友人が何かしらまだ非公開の規格の策定などに携わっている立場の場合、その情報には守秘義務が発生している可能性があるので注意が必要です

あくまで一般論としての雑談をしているだけだということを忘れずに。 また仮に友人等から情報を得た場合はその正確性や正当性はなんら担保されていないということを理解してく必要があります。報酬が発生していないところに責務はなく、責務があるところには必ず報酬がある、言うまでもなくビジネスの基本です。

このポストの内容は以下の書籍の一部(原文)です。興味のある方はぜひ書籍をお求めください。

幸せなIoTスタートアップの輪郭

九頭龍 'kuz' 雄一郎 エンジニア/経営者, 日本の大企業からシリコンバレーのスタートタップまで多種多様な千尋の谷に落ちた経験を持つ。 株式会社ClayTech Founder/CEO, 監査役DX株式会社 Co-founder/CTO, 株式会社スイッチサイエンス取締役, 株式会社2nd-Community取締役, 東北大学客員教授, 東京工業大学非常勤講師, 武蔵野美術大学非常勤講師, 他複数社の顧問など。

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