Q. 取説って何を書くべきですか?
取扱説明書(取説)はその名の通り製品の取り扱い方の説明が書いてあればそれで良いかというと、微妙に違います。 ここではその点について解説します。
<取説は規格関連の記載場所でもある>
様々な規格に関係して取説への記載を求めるあるいは推奨されるものが少なくありません。 試しに電子機器製品の取説を見てみると、いわゆる取り扱い方が記載されているもの(カラフルであったり紙が立派であったり読みやすいもの)とは別に、やたら長文が各国言語で書いてあるもの(白黒で文字が小さく読みにくいもの)が入っていることが多いと思います。 後者が規格関連のドキュメントです。
ほとんどの場合でこれらは強制力を伴わないものではありますが、ユーザーサイドでの安全確保や訴訟リスクなどを鑑みて、ほとんどのメーカーでコピペのごとく同じような文言が書かれた紙片が差し込まれています。 なお一部は本体あるいは取説への記載が義務付けられている事項もあり、デザイン性を重視した製品などでは本体への記載が困難であることから、そのような内容はことごとく取説に記載されています。
ひとくちに規格といっても、安全規格、電波法、無線通信を使っている場合はBluetooth、WiFiなど、規格対応コネクタがあればUSBやHDMIなど様々な要求があり、これらは製品を出す前に一度きちんと専門家に見てもらうことをお勧めします。
<取説はユーザーにとってのライフラインでもある>
取説を作成する段になってバタバタすることが多いのがカスタマーサポートの設置です。 大抵の取説にはカスタマーサポートの窓口情報として電話番号やメールアドレスやURLなど記載されています。 製品によってはユーザーがあまりデジタルに慣れ親しんでいないことも考えられますが、その際は取説に記載されている窓口がユーザーにとっての実質的な頼みの綱になります。 これらを記載することも重要ですが、きちんとした体制を整えた上でリリースするということが重要です。
近年取説は極力シンプルにする方向へと進んでいます。 コスト削減、ユーザーフレンドリー、Webの活用による更新柔軟性の確保など大きなメリットがあると思います。 しかしながら、最低限記載しなければリスクがあること、という限界ラインはきちんと踏まえた上で適切な軽量化を図るという保守的な取り組みを軽視過ぎないよう注意が必要です。
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