こっそり会社を立ち上げた上に『始動』に参加してます

最終更新日

an athlete rubber shoe sole

つくづく自分は変なことを思いつくし行動に起こすなぁと思うのですが、まずひとつは8月に友人と新しい会社を立ち上げました。そしてその会社で経済産業省・JETRO主催プロジェクトの「始動」に応募し選抜していただきました。

新会社:監査役DX

新会社は「監査役DX」という名前です。
読んで字のごとく。監査役をDXしようと考えています。

先日インタビューを受けた時のYoutubeで若干語ってます。

この言葉についてご理解いただくにはまずいくつかの前提について話をする必要があります(必要ない人には必要ないけど)

「監査役」という役割は日本独特な仕組みではありますが、上場会社には必ずいますし、上場を目指しているスタートアップにもだいたいいます。上場の際の条件のひとつだからですね。
監査役には常勤監査役とか非常勤監査役とか監査等委員会とか色々細かい話がありますが、それらの説明はWikipediaにでも任せます。

監査役のお仕事とは

で、その監査役。
その名の通り会社の内部を監査することがお仕事なのですが、具体的に何をやるべきか。
だいたいの人が「監査役」≒「会計監査」と思っているのではないでしょうか。それは仕方がない。なぜなら世の中の監査役がほぼそれしかやっていないからです。
さて、一方できちんとした監査役の役割定義については会社法で規定されていますが、「公益社団法人 監査役協会」さんがわかりやすくまとめてくれています。
https://www.kansa.or.jp/system/about/

  • 報告要求・調査
  • 取締役の違法行為の阻止
  • 会社・取締役間の訴訟
  • 会計監査

まず我々はこれらのほとんどがDX可能だと考えています(実際に着手し始めています)
今までの監査役は彼らが果たしている役割の割にイイ金を取り過ぎです。システムに成敗されても仕方ないんじゃないかなぁと呑気に言ってみよう。

監査役の役割の再定義

そして、監査役の役割はここにとどまるべきではないと考えています。キーワードは「ESG経営」です。

ESG経営とかESG投資とかって最近色々なとこで言いますよね。Environment, Social, Governanceがちゃんとしてないとヤバイすよ、って意味で、あるいは自分たちはやってまっせという文脈で使われますね。
会計指標や財務指標(イイ感じに儲かってるか否か)ばかり見るのをやめて、環境負荷の低減やステークホルダーとの良好な関係を築いている会社の評価を上げましょうよ、というとても真っ当な考え方です。多くの大企業ではもはや当たり前のように取り入れられています。だってESGがきちんとしていないと銀行が金貸してくれないからですね。

しかし’E’, ‘S’, ‘G’これらの中で、もっとも未熟で間違っていることをしょっちゅう見かけるのが圧倒的に「G = Governance」です。

言ってみれば、会社の経営リスク低減のためにどのくらい「当たり前のコントロールができてるか」が要するにガバナンスです。

これってちょっと想像してみればわかりやすいことに「中の人には指摘しづらい話」ばかりです。おい、そこって監査役の出番じゃないの?というのが我々の考えです。

世の中的にはその役割を社外取締役に求める動きがありますが、例えばアーリーステージのスタートアップのような金も時間も無い存在が、監査役(経営会議に来るけど何も発言せず居眠り)と社外取(自身の経験から色々言うけど兼務し過ぎで脳みその1%もその会社のために割いていない)の両方に高額の報酬を払うのはどうなんでしょうか?そんなことよりも是非とも優秀なエンジニアを採用する方にお金を使って欲しいものですね。

我々は監査役の役割を再定義し、かつリーズナブルなサービスとして立て直すことで、より一層監査役のバリューを上げていこうと思っています。

これが「これからスタートアップが増えていく日本」にとって間違いなく必要なことです。

YOUは何しに始動へ?

さて、続けて「始動」について。

https://sido.jp/

『始動~Next Innovator~』は経済産業省・JETRO主催のプロジェクトで、次世代イノベーターの育成を目的に国内外から約100名を選抜し、著名人の講演やワークショップ、プロジェクトメンバーたちのディスカッション、シリコンバレーへの短期派遣などを通してスタートアップ人材を育てていくというプロジェクトで既に8期目です。

ん?お前が参加?メンターじゃなくて?

と思われた方が多いのでは。そうですね。
現に私は2015年度(多分)にシリコンバレー側のメンター役として参加していましたし、既にスタートアップを立ち上げた経験もありますし、シリコンバレーにはだいぶ馴染みがありますし(5年住んでた)、最近はスタートアップの顧問もよく務めさせていただいている立場です。

じゃあ冷やかしか公金でシリコンバレー旅行したいだけか!?と即断するなかれ。
私なりに思うところがあるわけです。

シナプスを繋げ!

まずコロナ禍を通じて、本来の出不精でコミュニケーション嫌いな性格が勝ち始めていること。

そういうことを言うと「むしろお前は真逆だろ。笑」と言われることが多いですが、いやいや、元々根暗でめんどくさがりでパリピからは程遠い人材です。
(参考:そういえば私はパラパラを踊っていない

クリエイティビティを発揮するために、他人の脳みそや他人の経験は必須です。自分で知ってること、自分がやってきたことなんて知れてるので。それらを惜しみなく分け合えるのが友人です。Give and Giveな時期もあればTake and Takeな時期があっても許されるのが友人です。

そういう相手を増やさなければ、人生はどん詰まりです。あるいは同じメンバーで同じような会話を繰り返すだけです。そこから脱却するためには動かなければならない。
(参考:Q. 発想を飛ばすためには一人でじっくり考える時間を取った方が良いのか?

それがわかっているので私はそう生きてきたわけです、が惰性って怖い。出なくて良い正当な理由があるのなら出ない、というのが私でした。怖いね。

ということで強制的に何かしら関わりを増やしてシナプス繋ぎまくろうという理由がひとつ。

「ノーコメント」からの脱却

もうひとつが批判される機会の創出です。

私もそれなりの歳になってしまいました。それなりの実績もあります。そうすると、私も他者に対してそうなのですが典型的な行動様式にハマっていきます。

それは「ノーコメント」です。

人生に与えられた時間は限られています。信用できない人と過ごすことに時間を割くことはできないし、やりがいを感じられないことに頭を悩ますことは自分を殺す行為に等しいです。

しかしそこまでの深刻なシーン(絶対避けるべき!)ではなくとも、少々厄介でどうしたもんだかなぁと思ってしまうシーンの典型が「ある程度リスペクトできる(すごくリスペクトしているわけではない)相手が、自分と全然違う意見を言っている時」あるいは「あまり知らない人がよくある失敗にハマりそうになってるけどその指摘と説明に非常に手間がかかる時」などです。

前者であれば「(まぁあいつにはあいつの世界観があるだろうからなー)」とノーコメントになります。後者に関しては「(うーん、、、時間かかりそうだし簡単にはわかってもらえないだろうな)」とノーコメントになります。

経験が豊富な人であればあるほどこちらに入っていきます。そして「意見交換はあれど強烈な衝突は無い」くらいの関係性に落ちていきます。これはある意味大人な関係ですし、それ自体は構わないことだと思います。人生衝突ばかりじゃ疲れちゃいますから。

現に自分の周りがそうなって来ていることを感じます。だって批判されないんだもん。

批判を受けてこその成長

大人は公然と他者を批判するようなことはしません。こっそりと裏で手を回して排斥するだけです。

ということで排斥は相変わらずされてます。それなりに。笑

昔は違いました。
VCの前でプレゼンしては「1ページでもつまらない話があったら出てく」と言われたり、市場規模の資料を出した瞬間に「この数字は間違ってる」とぶっきらぼうに言われたり。面と向かって「九頭龍さんはトップダウンのク◯野郎だ(意訳)」と言われたり。笑

やられた瞬間はそりゃ凹むのですが、そういう一瞬一瞬が自己を成長させて来たのは間違いありません。

なので批判して欲しい、私も批判するから(それはやめといて欲しければ一方通行でもOK)

そんなことをやるには初心に還るしかなかろう。よし、応募しよう、というわけです。

人は誰しも「再始動」が必要です。
人生100年〜120年時代に「再始動」抜きで人生終える人はどんどん少なくなっていきます。

それこそフィンランドの教育システム(学生と社会人の区別をしない。大学は全て無料)のように、その「再始動」を公的資金で援助することは、国を強くすることに他ならない重要なテーマと言って良いはずです。

ちなみに私は常々2, 3年に一度くらいのペースで「そろそろ再始動したいなぁ」と思っています。

ここまで読んでも「YOUは何しに」の答えとしてピンと来ない人も多いかも知れません。
でもそんな私を審査で落とさずにそっとスルーしてくれた始動運営事務局には感謝しかありません。
色々な角度で貢献できると思います。案外使い勝手の良い役に立つやつですよ。笑

九頭龍 'kuz' 雄一郎 エンジニア/経営者, 日本の大企業からシリコンバレーのスタートタップまで多種多様な千尋の谷に落ちた経験を持つ。 株式会社ClayTech Founder/CEO, 監査役DX株式会社 Co-founder/CTO, 株式会社スイッチサイエンス取締役, 株式会社2nd-Community取締役, 東北大学客員教授, 東京工業大学非常勤講師, 武蔵野美術大学非常勤講師, 他複数社の顧問など。

シェアする