キノンのカルボキシル化を利用した炭素回収システム

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DACC(Direct Air Carbon Capture)はIPCCの第六次レポートでも「オプションではなく、DACCなしでは目標は達成されない」と明示された大注目の領域だ。

しかし既存の技術(例えばClimeworksなど)では巨大なプラントが必要であり、吸着と放出に温度および気圧のスイングが必要になること(エネルギー負荷も大きいこと)、コストが非常に高いこと、などなど課題は多い。

ここで紹介するVerboxはMIT発のテクノロジーで上記の多くの課題を解決する可能性を秘めている。

Youtube動画は以下

CTOのDr. Sahag Voskianの関連論文

https://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2019/ee/c9ee02412c

他にはAmine basedの研究もやっていたりする。

https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acssuschemeng.0c02172

日本語での記事も出ていた

ESAはバッテリーの技術の延長らしい

ESA(Electro-Swing Adsorption): 温度や圧力ではなく電荷的に振る(充放電)ことで吸収させる技術
元々はバッテリーの(恐らく)電極の研究をしている過程でガスを固定化する方法が出てきたのでそれをCarbon Captureに利用するということが発想された。

具体的な動作も「デバイスを充電するとCO2を吸着し、放電するとCO2を放出する」というものだ。

QuinoneがCO2を固定化する過程

以下の図がわかりやすい。

キノンはいわゆるベンゼン環のOがふたつくっついているやつだが、それが二酸化炭素を補足して以下のように変化する。

https://pubs.rsc.org/image/article/2019/EE/c9ee02412c/c9ee02412c-f1_hi-res.gif

プロセスをもうちょっと細かく書いた図がこちら

https://pubs.rsc.org/image/article/2019/EE/c9ee02412c/c9ee02412c-s3_hi-res.gif

アントラキノン自体は二酸化炭素を還元する物質として人工光合成の研究なんかでチラホラ見かける

Concentration

membrane-basedとの比較としては、concentrationの融通が利くかどうかにあるとのこと。mambrane-basedだとあるrangeの密度であれば効果的に働くが、それより少ないレベルの場合は広大な面積と大きな機器が必要になってしまう。VerdoxのQuinone-basedのソリューションではその点どのようなconcentrationでも安定して動作するということらしい。

電気的補足(ESA)という期待

DACC領域で見かける『実現済み』のソリューションの多くはAmine系の吸収体を用いて吸着したCO2をチャンバー内で熱してリリースして回収して、そこから圧縮して液体にしてパイプラインへ、というものばかりだ。

これは単純に技術的成熟には時間がかかるということと、この領域は実用化=プラント化というのが半ば常識なので(だってギガトン単位の回収が必要なのだから!)必然的に工場っぽい話に引っ張られる。

しかし電気的な補足であればでかいヒーターも不要なため機器もコンパクトになり、消費電力も小さいためちょっとしたソーラーパネルとかであちらこちらで動作するのでは、と想像した。

個人的にDACC=巨大プラントの風潮には一石を投じたいと思っていて(だってプラントエンジニアリングは専門外だから)その点ESAはひとつのアイディアとして強く頭に残った。

qzuryu