Q. エンジェル投資家との正しい関わり方は?
エンジェル投資家については様々な定義がありますが、ここでは「こんな偽エンジェル投資家とは組むな」という角度から真のエンジェル投資家の定義をすることを試みます。
こんな偽(エセ)エンジェル投資家とは組むな!
①株式の比率にこだわる
エンジェル投資家の多くは既に人生のすごろくを一回あがってしまった方々です。 自らの事業や関わったスタートアップで大きなキャピタルゲインを得た方や、大手の重役を長年勤めて退いた方などです。
彼らが自らの新たなチャレンジも行う傍ら、若者の可能性や大胆な試みを応援するために投資活動を行うのがエンジェル投資の根本です。 したがって、彼らの多くはガッついていませんし金額の微妙な差異にこだわりはありません(もう十分に持ってますから)。
仮に彼らが持ち株の比率に文句をつけてくることがあったら、それは「創業者を守る論調」の時だけがあり得ます。特定のVCに高い比率を与えすぎだったり、逆に比率を抑えることを考え過ぎてバリュエーションが上がり過ぎて今後の調達が苦しくなるリスクがあったり。
それ以外で持ち株のことをあーだこーだと言い出すエンジェルがいたら、それはエンジェルの皮を被ったデビルです。 一般には(私の知っている限りでは)創業時に数百万とか入れたエンジェル投資家も、シリーズAなどが終わってひととおり希釈されたあとでは一桁パーセント(のそれも前半)くらいしか持っていないのが普通だと思います。
たまにスタートアップの上場時に目論見書を見ると「誰これ?」って初期投資家がたんまり持っててげんなりさせられることがあります。本当に不愉快。
②「おれの事業」というスタンスがチラホラ見える
エンジェル投資家が投資先の事業に情熱を持ってくれることは非常に良いことですが、あくまで「サポーター」としての立場を崩さないようにしてくれないと事業を進める上での様々な障壁になり兼ねません。アドバイスや叱咤は良いことですが、「おれが言う通りにすれば良い」まで来たら重症です。
金は大したことではないのです(特に持っている人にとっては)。ほとんどの物を持っていない者が唯一持っている「時間」や「頭脳」や「情熱」を100%捧げていることの方がよっぽど深刻で真剣な一大事です。リスペクトはあなたたちが受けるべきなのです。
③金を持っているだけ
エンジェル投資家の大事な役割が「スタートアップと社会をつなぐこと」です。
起業家やその初期メンバーには社会との接点が不足しているケースが少なからずあります。学生企業であったり、あるいは社会人であってもかなり偏った領域の経験者であったり。彼らはVCとの接点もなければ、クライアントとの接点も、開発協力会社との接点も、何もかもありません。 その時に「経験豊富な指導者役」として機能するサポーターたちのひとりがエンジェル投資家です。
ただただ家業として継いだ資産を持っているだけの方や、株や仮想通貨(最近だとYoutuberとかもありますかね)でひとときの資産を掴み取っただけの方には残念ながらそのような「実業界のお兄さん」としての素養が足りない可能性が高い、ということは否定できません。
幸運なことに日本では「エンジェル投資家」そのものが少ないので「こいつはひでぇな」と思うような方を見ることは稀です。とはいえその「稀」を掴んでしまった人はいるわけですので、皆様ゆめゆめご注意されますように。
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