Q. 油断するとミーティングばかりになる。どうしたらいいのか?

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これは働く人に共通の悩みですね。
何故こういう質問や相談を受けることがあるかというと私がミーティング嫌いだからです。(公言)

まず第一にミーティングは一般にコストが非常に高いです。 試しに某Y社に所属していた時に、大企業なので給与テーブルは大体わかるので、とあるミーティングのコストを時給換算で試算してみたことがありました。当時まだミーティング時間の短縮を訴えるような声は少なく、2時間の定例会をチームメンバー全員、約30人で行っていました。

そのコストと、私が今経費申請しようか悩んでいるノートPC。メモリを増設すると値段が上がるけど、いやぁこの値段だと何か言われるかなぁ、でも・・・などと考えるのが馬鹿らしい。定例会だけに限らず開発会議を延々とやったり、「とりあえず全員参加」と言われて仕方なく参加するものも大半が居眠りしていたり、そういう会議主催者のコスト意識は甘過ぎる!と強く思ったものです。

スタンフォードの集中力に関する実験

また各所で集中力に関する研究というものがされています。以前スタンフォードの実験結果を見て「うんうん、わかるわかる」と頷いたものでしたが、実験はプログラマーが脳波系をつけてプラグラミングをしていて、集中力が高まったタイミングで電話をかけ「窓の外を見て今の天気を教えて」と言うというものでした。その後プログラマーは作業に戻るわけですが、集中力が元の水準に戻るのに15分以上かかる、という実験結果でした。 エンジニアには頭の中に図面が描き切れる時があります。大仰に言えばゾーンに入った状態かも知れません。そこから実際に形にする過程というのは集中力を最高潮に高めて臨む必要があります。

しかし、電話のような横槍だけでなく「ミーティングの予定」が入っているだけでも時間を気にする必要があるわけです。必然、ゾーンに入る頻度は下がりますし、仮に入っても中断が発生します。 ミーティングが多い人間の生産性は低い。そう断言して構わないと思います。 ちなみにNetscapeの開発者でありシリコンバレー有数のベンチャーキャピタルの創業者でもあるマーク・アンドリーセンは、一日のうちある特定の時間にしかメールは見なし電話も受けないことに決めているそうです。

回避方法について考える

さて、多過ぎるミーティングのデメリットは皆体感的に理解しているかと思います。 問題はどのようにして回避していくか、ということではないでしょうか。以下に私なりの方法を書きます。これはいわゆるハック的なテクニックではないので仮に公開したところで私のミーティング嫌いはみんなに伝わっているし、いたずらにミーティングが増えることはないと信じています。

<断る>

非常にシンプルかつ極めてわかりやすい最初のアプローチが、すっぱりと断るということです。 「一応念のため」という要請に対して「(出席しても意味がないな)」と思ったらその通りに伝えるということです。相手はあなたのことを非協力的だと感じるかも知れませんが、いざミーティングが滞りなく終わればその後根にもたれるようなことはあまりないのではないでしょうか。 あまり良い顔をして「付き合いのいい人」になる必要はありません。 それによってあなたの評価は上がりませんし、成果も出ません。

<ミーティングを入れない時間を決める>

「空き日程と時間を教えてください」と言われることはよくあります。ミーティングの調整です。 その際にも完全に「ミーティングが入っていない時間」を答えるのではなく、「この時間帯はミーティングは入れない」とか「前後に1時間以上の余裕がなくなるようにミーティングは入れない」とかマイルールを持ちましょう。 ミーティングで丸一日が潰れた日の徒労感は半端ないです。

忙しい時、必然性がある時は仕方がありません。しかしそれでもきちんと時間を取ってフィードバックを整理したり、理解できなかった内容を調べたり、生産性のある行為に充てる時間が確保されていなければ、何も成長がありません。 カレンダーアプリを利用している職場であれば、私のカレンダーには「not available(空いてないよ)」と書いてある時間帯が所々にあります。プライベートな予定が入っているケースもありますが、とにかく「ここにはミーティングを入れないでくれよ」という極めて単純なメッセージを示しています。

<チャットツールでの対応を手厚くする>

時間の節約という意味でチャットツールは非常に有効です。 メールのように前置きがなく、スレッド構造が見やすいことで経緯が追いやすく、かつ「セミリアルタイム」な対応が可能です。 ここでセミリアルタイムと言っているのは、リアルタイムではないけどまるでリアルタイムのような対応ができる、という意味です。これは非常に大きなポイントです。

自分の都合が良いタイミングのちょっとした時間を利用することで、情報伝達の改善、議論の進行、共有事項の整理など「ミーティングが果たすべき機能」のいくつもをこなすことができます。 こちらを十分にこなしておくことで、仮にミーティングが発生しても短時間で済ませることができますし(情報共有が十分であれば前置きなしで始めることができる)、議論になっても結論が得やすくなります(既にある程度ベースになる議論は済んでいる)

ここまでやってもまだまだ会議を増やす人がいた場合には、試しに冒頭の「コスト計算してみろ」というのは一度言ってみたら良いのではないかなと思います。

九頭龍 'kuz' 雄一郎 エンジニア/経営者, 日本の大企業からシリコンバレーのスタートタップまで多種多様な千尋の谷に落ちた経験を持つ。 株式会社ClayTech Founder/CEO, 監査役DX株式会社 Co-founder/CTO, 株式会社スイッチサイエンス取締役, 株式会社2nd-Community取締役, 東北大学客員教授, 東京工業大学非常勤講師, 武蔵野美術大学非常勤講師, 他複数社の顧問など。

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