Q.マルチプラットフォーム対応で悩むのですがどうしたらいいでしょう?

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以前とある広告代理店の方とアプリについてお話ししていた際に「iOSのみ対応とか字面的に無理。あり得ない」というコメントをいただいたことがありました。
逆に開発者にとってはAndroid対応が如何に面倒かということは身に染みています。
理由はAndroidは端末の種類が多く、寸法や画角も様々でありまたOSにソフトウェア的なカスタマイズをかけているケースもあり、それらで網羅的に一貫した品質を確保することは非常に手間がかかります。

現在のスタンダードな対応方法は大きく分けて2つです。

ひとつは極力ネイティブアプリのコードを少なくする方法です。具体的にはWebViewなどを活用してクロスプラットフォームで極力再現性のある表示及び動作を実現します。
しかしながらこのやり方には限界があり、最低限のネイティブのコードを書かなければならなくなる、あるいは凝った動作をするためには結局ほぼ全面的にプラットフォーム依存で書かなければならなくなる、というようなことが往々にしてあります。

もうひとつの選択肢はガッツリ金をかけてガッツリ回収する方法です。
これは開発の戦略ではなく経営の戦略のレイヤでの判断ですね。倍の人数確保して、倍の予算をもって、両面で対応する、というシンプルな力技ですが、算盤さえ弾けば判断ができます。前述の広告代理店の方が言うような「あり得ない」が本当にそうかどうかを金額換算して出せば、マルチプラットフォーム対応が損なのか得なのかきちんと計算で出せます。

しかしながら最近第三の選択肢の可能性も世に示されたように思います。
それはClubhouseです。 ClubhouseはiOS限定のアプリです(でした)。当然いずれAndroidに対応するのだとは思いますが、一旦は対象をiOSユーザーに絞ってあります。SNSなどの類でマルチプラットフォームではないアプリを久しぶりに見ました。
理由は明白だと思います。 リソースを節約できること、そして体験の品質を重視するとiOSデバイスの統一されたコンセプトおよびデザインの上でアプリの動きをデザインした方が一貫性を保ちやすいことです。少々突っ込んだことを言えば、Appleのデバイスは通信や音声の仕様についてかなり厳密な取り決めがあり、動作が統一されています。そういう意味で音声SNSを標榜するClubhouseとしては自分たちのやりたいことを存分にやるためにはAndroidユーザーを一旦捨てる、と判断できたわけです。

成長の過程にあるスタートアップにとっては勝負する方向と勝負する時期を決めることはとても重要だと改めて思わされる事態でした。

九頭龍 'kuz' 雄一郎 エンジニア/経営者, 日本の大企業からシリコンバレーのスタートタップまで多種多様な千尋の谷に落ちた経験を持つ。 株式会社ClayTech Founder/CEO, 監査役DX株式会社 Co-founder/CTO, 株式会社スイッチサイエンス取締役, 株式会社2nd-Community取締役, 東北大学客員教授, 東京工業大学非常勤講師, 武蔵野美術大学非常勤講師, 他複数社の顧問など。

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