Q. 海外で日本人がリスペクトされているというのは本当か?

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man holding an umbrella

アメリカではスーパーのレジで雑談をすることがあります。ドラマの中のワンシーンとかではなく割とよくある日常的な光景です。

アメリカに渡った当初、私はパスポートを必ず持ち歩いていました。理由は、アルコールを買う時にかなり高頻度で身分証明を求められるのですが当時まだ運転免許を持っていなかったからです。 パスポートを出すと国籍がわかります。そこで「おー、日本人なんだ」と言われることがあります。何せ私はよく中国人に間違えられるので。

スターバックスなどコーヒー店ではカップに名前を書かれることがよくあります。注文の取り違いを防ぐためです。 私はアメリカでは「KUZ」と名乗っていました。YUICHIRO KUZURYUのどこを切り取ってもローカルには発音しづらくて、一番マシな箇所を使った形です。 そうすると「KAZ」と書かれることがよくありました。シリコンバレーにはかなり日本人が入っていて、「カズ〇〇」さんは日本人では一般的な名前ですしローカルでもKAZであれば発音しやすいから彼らにとっても馴染みがある名前なのです。 サッカー好き店員で「三浦和良を知ってる」というようなケースもありましたが、いずれにせよここでも「おー、KAZ。日本人なのね」となります。

これらの際に引き続き高確率で言われるセリフが「へー。ってことはエンジニア?」です。

ビジネス的に日本人との付き合いが多い層は、当然シリコンバレーにいる日本人にも色々な職種がいることがわかっていますし、周りに純粋なビジネスマンや起業家の日本人の知り合いもいることでしょう。また学生時代に日本人留学生と触れ合えば、またそこでも認識の拡大は起こるでしょう。 しかしながらそれらを持っていない場合、多くのケースで日本人はエンジニアであり優秀で大人しくて礼儀正しいといういわゆるステレオタイプな認識がインプットされていることを他にも様々なシーンから感じました。 ある時、若いレジの男性にパスポートを提示した際に、彼が慣れていなかったのか私の年齢の確認の仕方がわからずモタモタしていたところに袋詰めのベテランの女性が「日本人でしょ。じゃあ大丈夫だよ」と言っていたのを思い出します。

しかしながら、これがキャリアの話となると状況は一変します。

日本人の日本人としてのキャリアが諸外国で使えると思っている方は少々認識を改める必要があると思います。 これは日本人の技術力がどうこうというような話ではなく、多くのアメリカ人は、よっぽどの日本通でもない限り、日本で起きていることなど知らないし興味もない、ということです。(MANGAは好きだけど)

トヨタやソニーなどの大企業のことは知っています。しかしそれは日本人がジョンソンアンドジョンソンやシスコなどの大企業について知っているのと同じであって、そこにGAFAに対するような尊敬と畏怖が入り混じったような感情はありません。 大企業であれば仕事内容も多岐に渡りプロジェクトも大規模になります。そこでどのようなポジションでどのような貢献をしたかがわからなければ単に大企業にいたというだけでは、特に雇用の流動性が高いアメリカでは情報としてあまり意味を持ちません。 また学歴も日本であれば東大くらいしか認識されません。一部のインテリ層や日本に幾分馴染みのある人間からは早稲田や慶応の名前が出てくることもありますが、せいぜいその程度です。

所詮ほとんどのアメリカ人にとっては日本など太平洋の向こうのよくわからない島国なのです。(SUSHIは大好きだけど)

私はシリコンバレー以外の場所に住んだことがありませんが、他の場所では恐らくもっと日本人の比率が下がります。 したがって酷くなることはあっても、マシになることはないだろうと想像できます。

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幸せなIoTスタートアップの輪郭

九頭龍 'kuz' 雄一郎 エンジニア/経営者, 日本の大企業からシリコンバレーのスタートタップまで多種多様な千尋の谷に落ちた経験を持つ。 株式会社ClayTech Founder/CEO, 監査役DX株式会社 Co-founder/CTO, 株式会社スイッチサイエンス取締役, 株式会社2nd-Community取締役, 東北大学客員教授, 東京工業大学非常勤講師, 武蔵野美術大学非常勤講師, 他複数社の顧問など。

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