Q. きれいなプレゼン資料を作ることは重要か?

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これはある種テクニックの話ですね。 ここではプレゼン資料を作る際の注意事項を以下に書きます。

<きれいな資料は継続してこそ意味がある>
ここぞ!という機会にきちんと整った資料を出したいという気持ちは誰しもあると思います。
特に月数百万円取るようなコンサルは、まぁ整然と整った資料を提出してくれることが一般的です。かっこいいですね。 とはいえ、これは「当たり前のようにできるのであればそうすれば良い」という点に注意して下さい。 資料はグラマラスであればそれはそれで良いことですが、別にシンプルでも構いません。 目的は「要点が伝わること」ですから。
資料というものは継続して提出したり、何度も出し直しになったり、フェーズごとに作り替えることになるのがほとんどです。 したがって「ここは勝負どころだから」と思って気合を入れたものも、それが来月も再来月も場合によっては翌週も、なんてことになるのが普通です。 そこで「いや、急な話だったので。。。」と資料のクオリティが落ちても誰もそういう見方をしてくれません。「今回は手を抜いたな」と思われるだけです。 それよりも普段から「こいつは凝ったことは書かないけど要点はきちんと伝わる資料を作るな(読みやすい)」と思われていた方が遥かに得だと私は思います。

<名前だけでも覚えて帰って下さい>
いくら情報豊富な資料を作っても聞き手はだいたい覚えていません。
仮に情報量が多い資料を提示された場合は、彼らはその一部を「自分の都合」で記憶します。これはプレゼンの真意が伝わらないという由々しき可能性とともに、これも前述した「要らぬツッコミ」の種となります。 真意、ポイント、要点にきちんと絞った、無駄を省いた資料を作るということはとても重要なポイントです。

<視線を発表者に向けてもらう>
以前「高橋メソッド」というものが流行った時期がありました。
プレゼン資料1ページあたりに四文字か五文字くらいしか書かないという非常に単純なメソッドですが、これは効果があると個人的には思っています。 理由は資料に情報を書かないということは、聴衆の視線が発表者に向きやすくなるからです。
何かしらプレゼンテーションを行う時、それが商品企画や事業企画であるとき、必ず伝えなければならない重要な要素があります。
それは「情熱」です。
あなたのプロジェクトに賭ける想い、どれくらいの確信を持ってそれに取り組んでいるか、その製品あるいはサービスが実現する世界というのはどのようなものだろうか、それら「簡単に記述できないもの」を活き活きと表現してくれるのがあなた自身です。
以前MITメディアラボの石井教授の講演を聞いた際に「資料の作り方が非常に上手い方だな」と思ったのを覚えています。彼自身非常にパッションが豊富な方で、多くのパワーをプレゼンの中でも振り撒きます。
しかしそれを皆が印象付けられるのは資料が極めてシンプルだからだとその際には感じました。
彼はそれこそ高橋メソッドにも近いことを行なっていましたし、それ以外の部分も写真や動画を巧みに取り入れていました。
しかしやはり聴衆の記憶に残っているのは彼自身が熱っぽく語っている姿なのです。
私はそれを資料がシンプルで要点のみあるいは捕捉情報のみを持っているため聴衆はほぼ資料を箸休め的に見ているだけだったからだと分析しています。

さて、ここまで書きましたが総合すると、要するに「資料に過剰な労力をかけるな」というアドバイスに変えることができると思います。重要なのは中身です。もっと言えばあなた自身です。 とはいえ寿司についてくる卵焼きも、定食についてくる小鉢も、フランス料理で食べ放題のバゲットも当然美味しいに越したことはありません。資料はプレゼンにおいてそういう存在なのです。

九頭龍 'kuz' 雄一郎 エンジニア/経営者, 日本の大企業からシリコンバレーのスタートタップまで多種多様な千尋の谷に落ちた経験を持つ。 株式会社ClayTech Founder/CEO, 監査役DX株式会社 Co-founder/CTO, 株式会社スイッチサイエンス取締役, 株式会社2nd-Community取締役, 東北大学客員教授, 東京工業大学非常勤講師, 武蔵野美術大学非常勤講師, 他複数社の顧問など。

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