Category: clay tech

Q. PoCを何度かやっているが成果が出ない。何故だと思いますか?

実はこれ変な質問なんですよね。 PoC = Proof of Concept は「仮説の証明」という言われ方もしますが、何かしら製品なりサービスなりのアイディアを想起したあとにまず行う実験、というような位置付けで用いられることが多い言葉ではないかと思います。 製品やサービスの開発というものは時間もお金もかかります。 決裁者の立場を想像してみればわかると思いますが、数億を費やすプロジェクトのGo/No-Goをよくできたプレゼン資料の数十枚で判断できるわけありません。 「ここに書いてあることが本当だと実証して... Read More >>

Q. 開発レビューは面倒ですが取り入れた方がいいですか?

まずは開発レビューが取り入れれらない理由について考えてみましょう。 1. スケジュール調整を含めて面倒 2. レビュワーに適した人がいない 3. 開発チームがごく少人数 開発レビューを行うことは大前提です。唯一行わない合理的な理由があるとしたら3の開発チームの人数だけです。 極めて少人数のチームで開発を行なっている場合、改まってレビューの場を設けずともお互いの設計情報やステータスは詳細まで連携が取れていることがあります。特にソフトウェア開発できちんとgitのようなシステムを使っている場合、またハードウェア... Read More >>

Q. 製品開発スケジュールを書く上で調達のリスクが最も大きい?

プロジェクトマネージメント(PM)の方はよくガントチャートを書きます。 それぞれのタスクやその担当者が各行に列挙され、そこから横向きに伸びた棒線が時系列でそのタスクがどこにあたるかを示している図表です。 きちんとしたプロのPMの方はタスクとサブタスクをきちんと分解し網羅的にスケジューリングを行います。 しかしながら商品の企画段階やもっと上位レイヤでのスケジューリング、例えばプロモーションや販促物、展示会イベントなども並べて描くようなざっくりしたチャートの場合、表現の粒度が下がります。 そのような時に最も見... Read More >>

Q. 開発経験が多いと身に付く能力というのは何でしょう?

あえてひとつに絞るならばそれは危機管理能力です。 可能性がある危機を察知し、その発生確率や深刻度を正当に評価し、事前の対策を打っておくあるいは用意しておくこと。それら一連を高い品質で実現する能力のことです。 これだけは経験の浅い開発者には一切ありませんし、なかなか経験の壁を打ち破ることはできません。なお経験とは開発年数のことではありません。どれだけ多くのチャレンジをして、どれだけ多くの失敗と成功を体験したかです。 危機とひとくちに言っても外部由来のものと内部由来のものがあります。 外部由来のものは非常に... Read More >>

Q. 開発中に競合が同じような製品を出してきた!どう捉える?

このようなケース。自分が実際に出くわすと「よりによってマジかよ!」と思うのですが、客観的にはよく受ける典型的な相談のひとつです。 「先を越された(焦)」とか「もう今更出しても新規性がない」だとか、ともすれば悲観的に捉えがちなこの状況なのですが、まずラッキーだと考えることにしましょう。 まず一点、自分の仮説が全くの的外れではなかったんだなという確証をひとつ得た、と考えることができます。 同じようなことをやる人がいると言う事はそのコンセプトに同意してくれる方が他にもいると言う意味です。 彼もあなたと同じよう... Read More >>

Q. プロトができていたら製造ってどこかにお願いしたらパッと作ってもらえるものなんですか?

私はファブありの企業、ファブレスの企業、どちらでも働いたことがあります。 多くの場合でスタートアップはファブレスへと流れます。自社工場を抱えることにはイニシャルコストだけでなく非常に大きな固定費がかかり続けるからです。 それでも多くの大企業がファブありの状況を続けています。それにはコストやサプライチェーンの最適化以外にも以下の理由があるように私は思います。 それは試作から製造までの意識の統一です。 多くのファブレス企業の場合、まずは自分たちでプロトタイプを作ってみて、動作確認をして、デモをやり、誰かの目に... Read More >>

Q. 量産に踏み切るぞ!という判断タイミングがさっぱりわからないのですが。。。

勘と本能と思い切りです。と言いたいところなのですが、少々理屈っぽいことも書いておきます。 まず、どこまでいったら製造して良いという技術的基準など一般には存在しないので、必然的に経営レイヤでの判断となります。 ほとんどのスタートアップは一度量産をしてもし失敗したらそこで資金が尽きてしまうのではないかと思います。 したがってまさしく「生きるか死ぬか」の非常に重たい判断です。 この重たい判断を下す場合に好ましくない思考方法を展開する方がいます。いくつか典型的事例を示しましょう。 「元々のスケジュールで決まってる... Read More >>

Q. とりあえず中国で作れば間違いないんでしょ?

流石にそう面と向かってハッキリと聞いてくる人は稀ですが(ゼロではない)多くの方の頭の中にこのセリフがあるんだろうなというのはひしひしと感じます。 そもそも中国が世界の工場と呼ばれるほどの影響力を持つようになったのはここ十年ほどの話かと思います。 その前の十年間の中国はリーズナブルな外注先であり大企業の投資対象(設備含む)でした。 さらにその前の十年間は、まだまだリスキーだが明らかに中国が変わろうとしている、と少なくない方々の認識に入り始めた時期だったように思います。 中国という国について考える際、あまり単... Read More >>

Q. 中国って何であんなに安く製品作れるんですか?

中国製造の安さのカラクリについては、様々なレイヤーで様々な意見がありますので以下に示すのはあくまで私が認識している範囲のことです。 まず1つ明らかに目につくのは中国ローカルシリコンの採用です。私は仕事上、市場の製品を買って分解して中身を見ることがよくあります。その際に中国製品をバラすとすぐに気づくのが、 いくつもの見たことも聞いたこともないICが基板上に乗っているということです。 ICの表面に銘板が書いてあるためそれを手がかりにデータシートを探します。しかし手に入るデータシートは全て中国語のみで、かろう... Read More >>

Q. 金型にものすごくお金がかかるというのは本当でしょうか?

本当です。 金型はスケジュールも財布も圧迫するものづくり界最大のリスクファクターです。 例えば、ちょっとした箱、上下で挟み込むような構造のものを作るだけで、場合によっては数百万単位の費用がかかります。 もし構造が複雑であったり、複数の素材を使用した多色成型であったり、精度に大きな制約があった場合はさらに上がり、1000万円以上かかるようなケースも決して珍しくはありません。なお自動車のフロントパネル(内装)のような大きな樹脂部品の金型では5000万円以上かかることもあるそうです。 大きなイニシャルコストは価... Read More >>

Q. 電子機器を製品で出すときに法規制ってあるんすか?

これは非常によく受ける相談で、実は法規制の全体像について体系立てて説明してくれている良いコンテンツはあまり無いように思います。理由は規制は国ごとに異なる上にコロコロ変わるからだと思います。 したがって大抵大きな企業では規格に関して調査する専門の部門が存在していて常に各国の動向にアンテナを伸ばしています。 小さな企業では必要なタイミングで外部のコンサルタントに意見を聞くことが多いです。 さて、ここでは厳密性というよりは極力全体像を捉えることができるように説明したいと思います。最新の情報や詳細は適切な機関から... Read More >>

Q. 価格設定のやり方がさっぱりわかりません

製品をリリースする時に必ず決めなければならないのが価格です。 一般に「原価の3倍にしておけば大丈夫」という雑な言い方がされますが、これがなかなか絶妙なもので大抵的を得ています。 まず価格を決める際に考えなければならないことが「ビジネスモデル」と「事業形態」です。 ビジネスモデルは端的に言えば「どうやって儲けるか」です。 製品を売ってそこで利益を取るシンプルなモデルもあれば、製品購入者にサブスクリプションのサービスを提供してそこで儲けるモデルもあります。また製品本体では儲けを取らず、付属品やオプションのサー... Read More >>

Q. 取説って何を書くべきですか?

取扱説明書(取説)はその名の通り製品の取り扱い方の説明が書いてあればそれで良いかというと、微妙に違います。 ここではその点について解説します。 <取説は規格関連の記載場所でもある> 様々な規格に関係して取説への記載を求めるあるいは推奨されるものが少なくありません。 試しに電子機器製品の取説を見てみると、いわゆる取り扱い方が記載されているもの(カラフルであったり紙が立派であったり読みやすいもの)とは別に、やたら長文が各国言語で書いてあるもの(白黒で文字が小さく読みにくいもの)が入っていることが多いと思いま... Read More >>

Q. 自社の社員に法規制に詳しい人間がいない。どうするべきか?

法律関係の話は失敗した時のリスクが極めて高いです。したがって必ず専門家の意見を聞く必要があります。 とはいえ立ち上げたばかりのスタートアップなどではそういうツテが無いことがほとんどではないかと思います。 以下にいくつか具体的な問い合わせ先の探し方について書いておきます。 <生産に向けての十分な資金がある状況> 規格関連の情報を提供したり具体的な申請作業の代行をするエージェントという仕事があります。 大掛かりな組織としてやっている会社もあれば、フリーランスのような形で仲介をしてくれる方もいます。ネットで軽... Read More >>

Carbon Capture and Storage(炭素回収&貯留)を理解する ②

前回のポスト に引き続き、edXにてEdinburgh Universityが提供しているオンラインクラス “CCSx: Climate Change: Carbon Capture and Storage” で学んだことを、自らのメモの意味合いで何回かに分けてサマライズしておく(ついでに誰かの役に立てば幸いだ) CCSが入り込んでいく領域 製造業ではコンクリートと鉄鋼業。そしてエネルギー。再生可能エネルギーと原子力を推し進めるだけの脱炭素では我々の世代のうちにCarbon Bud... Read More >>

Q. 会いたくても会えない人なんて存在しない?

シリコンバレーに行って大きく変わった価値観のひとつに「会えない人はいない」というぼんやりとした開放感があります。 万能感と言っても良いかも知れません。 シリコンバレーでは日本で生活していた時よりも一際人脈の重要性が上がります。 ひとつは雇用プロセスの性質の違いです。シリコンバレーではほとんどの採用活動がカフェやレストランで行われていました。これは単に場所の話ではなく、それらの基本的プロセスがほぼプライベート空間で行われていたという意味です。 採用を目的に1, 2度オフィスで面談して採用通知を出すというよう... Read More >>

Q. テクノロジーは人を幸せにするのか?

そんな疑問を持ち出したのは自ら事業立ち上げを進めていた2015年ごろです。 このような一見荒唐無稽な問いも、ふと飲み会などの場でクチにしてみると、非常に多くの起業家やエンジニアが共通性のある問いを抱えていることに気付かされました。 事業について考える際に欠かせないものが哲学的思考です。 「哲学」という単語を使うと何やら高尚なお話のように聞こえてしまうかも知れませんが、実際はそんな大層な話ではなく要するに「普通だと思っていることを疑え」というスタンスのことです。「なぜなぜを繰り返せ」と言うとわかりやすいです... Read More >>

Q. 専門性を活かすキャリアとしてスタートアップは選択肢に入るのか?

スタートアップには案外様々な人がいます。 若く野心的でパワーに溢れ、見るからに「スタートアップにいそう!」という人もいれば、どう見ても普通のサラリーマンのおっちゃんにしか見えない人もいます。 会社によっては「うちは飲み会やっても全然人が集まらない」というようなスタートアップもあります。メンバーの平均年齢が高く、家庭があったり子供が生まれたばかりだったり、あるいは社交性が低く職人気質な人たちばかりで構成されているようなケースです。パリピ感ゼロです。 いわゆる若者たちが集まって夜遅くまでワイワイやって土日はみ... Read More >>

「わかんないけど、わかるよ」のバリュー

何言ってんだこいつは?というタイトルだが、とても大事なこと。 先日友人との会話の中に出てきたフレーズだ。 スタートアップを単独創業した経営者を想像するとわかりやすいのだが、時に人はひどく孤独だ。 経験豊富な経営者であったり、積み上げた失敗の反省の上にさらに今を積み上げようとしている人は、その文脈において、まさに孤独だ。 世の中大きめの失敗をしながらももう一度何かをやろうとする人は少ない。 したがって必然、成功者たちの中にはどうしても「成功しか知らない人」が多くなってしまう。 彼らに手痛い失敗の入り口はわか... Read More >>

Q. 海外に行く上でアメリカを選んだ理由は何でしょう?

私が元々アメリカに興味を持った理由は、当時扱っていた製品の市場でした。 ヤマハは主に楽器や電子機器を開発製造販売している会社ですが、ほとんどの製品でメインの市場は北米でした。 そのため流行りの多くはアメリカから来ることが多く、その意味で常に注意を向けていました。 20代の頃の発想なんてとても純朴なもので「でっけえ市場を自分の目で見てみてえな!」というある種の憧れに近い感情を抱いていたのだろうと今となっては思います。 その後アメリカに駐在に行く先輩たちを見送りながら「いずれ自分も」と思い続けていましたが、結... Read More >>

Q. 技術者は常に流行りの技術を身につけるべきでしょうか?

以前「ソフト屋とハード屋どちらが得か?」という論考をブログに書いたことがあります。 議論の詳細は省きますが、結論としては「ソフトウェアエンジニアとハードウェアエンジニアの技術体系の特性には大きな差異があり、それによって必然的に社会から求められる振る舞いが変わってくるが、それに直接的な優劣は存在しないため好きな方を選べば良い」というものでした。 その特性の差異というものは、具体的には「何をベースにしたエンジニアリングか」という点の違いです。 ハードウェア関連のエンジニアリングはベースが自然科学です。物理学、... Read More >>

Q. ほとんどの仕事がAIに取って代わられるというのは本当か?

よくあるテーマなのでご多分に漏れず私見を求められることがあります。 【肯定的異論①】 ほとんどの仕事は自動化される。AIの方が人間よりも精度が高い物事が沢山あるのだから当たり前だ。 しかしそれは産業革命から高度経済成長、IT革命など歴史上の様々なシーンで起こってきたことと同じだ。したがっていたずらに恐れる必要はなく、「人間が行うべき仕事の範囲」の自然な変化が緩やかに発生すると考えれば良いだけだ。 【肯定的異論②】 AIは圧倒的に人間に勝る。じきに人間がやるべきことは何もなくなるだろう。 より高精度なAIを... Read More >>

Q. エンジェル投資家との正しい関わり方は?

エンジェル投資家については様々な定義がありますが、ここでは「こんな偽エンジェル投資家とは組むな」という角度から真のエンジェル投資家の定義をすることを試みます。 こんな偽(エセ)エンジェル投資家とは組むな! ①株式の比率にこだわる エンジェル投資家の多くは既に人生のすごろくを一回あがってしまった方々です。 自らの事業や関わったスタートアップで大きなキャピタルゲインを得た方や、大手の重役を長年勤めて退いた方などです。 彼らが自らの新たなチャレンジも行う傍ら、若者の可能性や大胆な試みを応援するために投資活動を... Read More >>

Q. スタートアップに搾取はある?

スタートアップではよくやりがい搾取という言葉が聞かれます。事業に十分なやりがいがあったとしても、金が無いスタートアップはそれ相応の賃金を払うことができないので、低賃金で過重労働を課したり、あるいは無報酬で多くの人間に関わってもらったりすることがあります。 私はそれに対してあまり否定的な立場は取りません。 モチベーション スタートアップに来る方のモチベーションというのは人それぞれですが、多くの人にある程度共通して言えることとしては、既存企業、場合によっては大企業に失望してその埋め合わせをスタートアップに求... Read More >>

Q. 起業のとき親に金を借りるのが良いって本当?

シリコンバレーで友人のMBA持ち経営者に言われてハッとしたことがあります。 「出資はワーストケースである」 関連してこのような言葉もあります。 「IPOは資金調達できなくなったら仕方なくやる」これらはスタートアップ運営における資金調達について多くの示唆に富んでいます。 ビジネスはどのようなものでも重要なことはリスクとリワードのバランスの制御です。こと資金については、お金に色は付いていません。羽も生えていなければ、強いも弱いもありません。 どこから引っ張ってきたとしても1円は1円です。したがって資金調達の手... Read More >>

Q. 起業家と詐欺師は紙一重?

「アクリル板1枚で4億円だったよ」と冗談ぽく笑うのは起業家のIさん。 彼はTech Crunchに登壇する際にまだ影も形もない製品のイメージを伝えるために小さなアクリル板を使ってプレゼンをしたのです。 結果的にはそれが非常にウケて、その後4億円の出資を受けることに成功しました。彼は当然詐欺師ではないので、その後きちんと事業を立ち上げARの先駆者として今でもリスペクトを受けています。 しかし彼はその後、次の会社で似たようなやり方で資金調達したものも、事業立ち上げが上手くいかず迷走し、最終的には創業者CEOで... Read More >>

Q. 100万台売らない製品で凝ったことをしてはいけない?

開発は一筋縄ではいきません。 開発途中での仕様変更、問題解決の目処が一向に見えないまま期限が迫る、金型作り直し、特許使用料交渉の決裂、様々な課題が立ちはだかります。ちなみに私は「工場が火事で部品燃える」という経験もあります。 さて、製品を出すことに対しては多くの関係者がコミットメントを持っています。 したがってちょっとやそっとの問題や課題で諦めるわけがありません。 しかし、実際冷静になると「ここまでやる必要あるのか?」というところまで追い込んでしまっていることが実はよくあります。 自分自身も身に覚えのある... Read More >>

管理したがる経営者の意外なネガティブ面

私は仕事上多くの経営者の方々と関わりを持っていますが、 時に友人的にビジネス談義したり、時に仕事のパートナーとして共同作業に取り組んだり、 時にどちらかが依頼者でどちらかが受託者となるある種の従属関係の下で仕事をすることもあります。このようないくつかのパターンの中で色々な会話をしていくと、先日ふと気づきがありました。 ある種パターン化された落とし穴と言って良いかと思います。 「管理したがる経営者」について。一般には管理したがる経営者は、 ・細かいところまで現場に干渉したがる ・自分で全てを把握してコントロ... Read More >>

ものづくり、IoT開発、スタートアップ運営、気軽に相談してください

九頭龍(くずりゅう)です。 いくつかの会社で取締役を務めさせていただきながら、顧問、アドバイザー、時折ハンズオンのコンサルなどでも多くの企業と関係を持たせていただいています。 また東北大学で特任教授(客員)を務めさせていただくとともに、東京工業大学、武蔵野美術大学などでも教鞭をとらせていただいています。 最近は以下の書籍を出版させていただきました。 私の取り柄は、ルーツがコテコテのエンジニア(専門は電気回路)でありながら、技術全般の広い知識と経営の経験、さらに泥臭くビジネスのディールを構築するところまで一... Read More >>