48チーム制ワールドカップの「3位抜け」、ボーダーは何点なのか気になって30万回シミュレーションしてみたら、答えは「点数じゃない」だった話
さて、いよいよ北中米W杯グループリーグの最終戦が始まります。
そこでですが、皆さん、今回のワールドカップを見ていて気になったことがあるでしょう。
今回から48チーム制になりました。12組×4チームで、各組の上位2チームが自動的に勝ち上がる。ここまではいい。問題はそのあとで、各組3位のうち「成績の良い8チーム」も決勝トーナメントに進めるんですね。
12組ある中で、3位は12チーム。そこから8チームが拾われる。
つまり3位でも、3分の2は通過してしまう。けっこうな救済枠です。
気になったのは、その3位抜けのボーダーが、実際にはどのへんに来るのか、でした。
固定の合格点は、そもそも無い。知りたいのは分布のほう
構造自体はすぐ見えます。3位抜けは「12組の3位を成績順に並べて、上から8チームを拾う」。12個のうち8番目を取る、順序統計量の話です。固定の合格点なんてものはなくて、他の組の3位がどう転んだかで、ボーダーは毎回ずれる。
問題はそこじゃない。構造が見えることと、その分布が頭に浮かぶことは、別の話です。
8番目の値は、勝点でいうとどのあたりに溜まるのか。ボーダー上に同点がずらっと並んだとき、最後に順位を分けるのは何か。グループ内は3チームの星のつぶし合いで相関があり、グループ間はほぼ独立。この混ざり方が生む分布は、式をにらんでいても像を結びません。きれいな閉じた形にはならない。
こういうのは、回してしまうのが早い。
とりあえず30万回、殴ってみる
やったことはシンプルです。
全チームの実力を「同じ」と仮定して、各試合の得点をポアソン分布で適当に振る。それで1大会ぶんのグループステージを丸ごとシミュレートして、3位の中で上位8チームがどんな成績だったかを記録する。これを30万回くりかえす。
実力を全部同じにしているのはわざとです。「format(仕組み)そのものが、どういうボーダーを生むのか」を見たいので、まずは強さの差を消して、純粋に制度の形だけを取り出します。
で、回してみた結果がこちらです。
通過した3位チームの大半は、勝点3でした。ボーダー付近の8〜9割が、きれいに勝点3にかたまっている。
勝点4まで取れていれば、ほぼ当確。得失点差がどうだろうと、まず抜けられる。
逆に勝点2以下だと、相当きびしい。
本当の合否ラインは「点数」じゃなくて「得失点」だった
ここがいちばん肚落ちしたところでした。
ボーダーは勝点3に集まる。ということは、通過するかどうかを最後に分けているのは勝点ではないんです。だって、ボーダー上のチームはみんな同じ3点なんだから。
差がつくのは、その先。得失点差と、総得点。
同じ勝点3でも、得失点差でどれくらい変わるか。シミュレーションだとだいたいこんな感じになりました。
得失点差が0か−1か、たったそれだけで通過率が20ポイント以上変わる。
つまり「もう負けが込んだ消化試合だから、適当に流そう」が、いちばん危ない。1失点を防ぐこと、ダメ元でも1点取りにいくことが、そのまま3位抜けの当落線になっている。点差で大敗した試合のツケが、最後の最後で効いてくるわけです。
なぜ乱数で殴っても、ちゃんと答えが出るのか
少しだけ、裏側の話を。
さっき「閉じた形にはならない」と書きました。やっかいなのはグループの中です。1組の3チームは星を奪い合うので、3位の勝点と得失点は互いに絡んでいて、単独の分布をきれいに書き下せない。
ところが、グループをまたぐと話が変わります。A組の結果とB組の結果は、お互いにまったく影響しない。だから全体としては「12個の独立な箱から3位の成績を1つずつ取り出して、上から8番目を見る」という順序統計量になっている。
このグループ間の独立性が、地味に効いています。独立な12個の平均的なふるまいを見ているだけなので、乱数で殴ってもばらつきは素直に小さくなる。30万回も回せば、8番目あたりの分布はもうほとんど動きません。
面倒なのはローカル(組の中)、素直なのはグローバル(組をまたぐ)。この層の分かれ方が、この問題のいちばん気持ちいいところです。
ただし、これは「制度の形」の話でしかない
最後に、正直な注釈を。
今回のモデルは、全チームの実力を同じにしています。なので現実より、結果のばらつきを小さく見積もっているはずです。
本物のワールドカップは、組によって強さの偏りがある。死の組もあれば、楽な組もある。だから「このチームが抜けられる確率は何%」という個別の話をしたければ、EloやFIFAランキングで実力差を入れた、重みつきのモデルに作り替える必要があります。
なので、ここで出した数字は「制度そのものが、だいたいどんなボーダーを生むのか」という骨格の話だと思ってください。幸いにも、その骨格だけでも「合否を分けるのは点数じゃなくて得失点」というのは、わりと頑丈に見える結論でした。
3位でも通過できる、やさしい制度。
そのやさしさの裏で、消化試合の1点が静かに効いている。
次に「もう順位は変わらないだろう」という試合を見るときは、得失点差の欄をちらっと見てみてください。たぶん、その1点には意味があります。
この文章は原案・ディレクション:九頭龍、作文:AIで書いています。
