Q. 一芸に秀でたスペシャリスト、柔軟に何でも吸収するジェネラリスト、どちらを採るべき?

crop psychologist taking notes during appointment

ある友人起業家のTくんと日比谷にある学士会館でランチをしている時に 「僕はね、大学のサークルみたいな雰囲気のスタートアップが作りたかったんですよ」 と言われたことがあります。 私は半笑いで応じました。何故なら彼の会社の現状は全くそうなっていなかったからです。そして私なりに言語化していた対極の言葉を教えてあげました。「傭兵スタートアップ」です。

まさしく彼の会社の状況は「百戦錬磨のおっさんばっか」と彼が評した通りでした。 もうひとつ彼の言葉を付け加えれば「会社を潰さないことを考えてたら自然とそうなってしまった」だそうです。

別の話もしましょう。

私が取締役を務めている会社にEくんというメンバーがいます。元々彼は法学部出身でありながらうっかり小さなエンジニアリングの会社でキャリアを始めてしまって、私がその会社に参画した頃は、スキルがきちんと育たないままズルズルと来てしまっていて、これは使い方に困るだろうな、という印象でした。

彼との面談でも彼自身もスペシャリティを持てていないことを自覚していて、それであれば会社に必要とされている穴を埋めれるような人材に今からなってもらおうじゃないか、と私は考えました。 とはいえ彼は仕事の進め方をきちんと理解できていません。なのでその分野のベテランを外部からパートタイムで招聘して彼の伴走者としてついてもらいました。

それから2年ほど経ちますが、現在Eくんはその担当業務をほぼ一人で回せるようになり、周囲のメンバーも「〇〇のことならEくんに聞いた方が早いんじゃないの」と自然と彼を頼れるようになってきています。

Eくんと先日面談を行いましたが「会社として僕に次は何を求めていますか?」と成長に対して貪欲です。 そうです、彼は新しいことを覚えることや新しいスキルを身につけることが当たり前なのです。非常に素晴らしいメンタリティだと言えます。 誰もがそうあって欲しいものですが、得てしてスペシャリスト的な「傭兵」はそのような柔軟性は持ち合わせていないことが多いです。

二つの事例からも外観できたとおり、実はここでの結論はとてもつまらなくて「バランス」だと思います。 実は冒頭のTくんも最近若いIoTとは全く縁がない職歴のメンバーを採用しています。具体的にはターゲット領域での特殊な資格や職務経験を持っている(がエンジニアリングは全く知らない)人です。 彼らの成長が今後のTくんの会社の成長を決めると言っても過言ではありません。

このポストの内容は以下の書籍の一部(原文)です。興味のある方はぜひ書籍をお求めください。

幸せなIoTスタートアップの輪郭

九頭龍 'kuz' 雄一郎 エンジニア/経営者, 日本の大企業からシリコンバレーのスタートタップまで多種多様な千尋の谷に落ちた経験を持つ。 株式会社ClayTech Founder/CEO, 監査役DX株式会社 Co-founder/CTO, 株式会社スイッチサイエンス取締役, 株式会社2nd-Community取締役, 東北大学客員教授, 東京工業大学非常勤講師, 武蔵野美術大学非常勤講師, 他複数社の顧問など。

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