Q. 開発中に競合が同じような製品を出してきた!どう捉える?

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このようなケース。自分が実際に出くわすと「よりによってマジかよ!」と思うのですが、客観的にはよく受ける典型的な相談のひとつです。 「先を越された(焦)」とか「もう今更出しても新規性がない」だとか、ともすれば悲観的に捉えがちなこの状況なのですが、まずラッキーだと考えることにしましょう。

まず一点、自分の仮説が全くの的外れではなかったんだなという確証をひとつ得た、と考えることができます。 同じようなことをやる人がいると言う事はそのコンセプトに同意してくれる方が他にもいると言う意味です。

彼もあなたと同じようにアイディアを出しビジネスモデルを練り手伝ってくれる人を探し投資家を探しそしてパートナーを探しチームで協力して製品のリリースまでこぎつけたはずです。 そしてそこには必ず多くの協力者、労力であったり、金銭であったり、いずれにせよ多くのサポートに基づいて彼はそこまでたどり着いたはずです。

という事は転じて言えば あなたのビジネスにもそのくらいの協力者を得るポテンシャルがある事は間違いないということを彼が証明してくれたのです。 したがってあなたが今直面しているいくつかの課題は限りなく高い可能性で解決できると考えて差し支えなさそうです。これは明白なGood Newsです。

続いてもう一点、一般には先行者優位と言う言葉がありますが、必ずしも先行者が有利とは限りません。 先行者は全く誰もやったことがないことを最初にやるという事 です。つまり、その先に何があるか、特にどのような典型的失敗が存在するかを彼は知りません。むしろ誰も知りません。

また一般的な誤解として、先行者がそのまま市場を席巻したケースというのは比較的稀です。 例えばFacebookには先行者としてMySpaceなどが存在しました。しかしFacebookの後に同じようなことをやった企業にはなかなか勝ち目はありません。それはFacebookが既に市場を大幅に寡占してしまったからです。したがって逆説的に、寡占まで辿り着かない限りは「先行者」というメダルにはさほど大きな意味はありません。気分は良いですけどね。

iPodの前にはいくつもの携帯型オーディオプレイヤーが存在しました。それこそ何年も前から。しかし使い勝手や音楽の取り込み方、記憶容量を含め様々な課題がありました。iPodはそれらのいくつかを解決し大きくヒットしました。他社に温めておいてもらった市場を最後に登場してかっさらうかのように。

先行者は不利です。皆に一挙一投足を見られています。後出しは優位です。先行者の出方を見て戦略を決めることができるからです。 そう考えると競合が登場したシーンというのはつくづくラッキーだと小躍りしても良いのではないでしょうか。

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幸せなIoTスタートアップの輪郭

九頭龍 'kuz' 雄一郎 エンジニア/経営者, 日本の大企業からシリコンバレーのスタートタップまで多種多様な千尋の谷に落ちた経験を持つ。 株式会社ClayTech Founder/CEO, 監査役DX株式会社 Co-founder/CTO, 株式会社スイッチサイエンス取締役, 株式会社2nd-Community取締役, 東北大学客員教授, 東京工業大学非常勤講師, 武蔵野美術大学非常勤講師, 他複数社の顧問など。

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