起業は社会人スポーツみたいなもの(必然性の視点)

最終更新日

field grass sport foot

やるべきか、やらざるべきか、それが問題だ
社会人として生きていく以上様々な外界(他人、外国、宇宙?)との付き合いが発生する。それらには溢れんばかりの課題や不具合が転がっていて、それらは「解決すべきではないのか?」とあなたの心を揺さぶる。
健全な魂は健全な肉体に宿る
やるべきことをやらないのはストレスである。自分がその解決策に気付いていたりしたら尚更だ。酷く健全ではない。 しかし一方でやるべきことが複数あるということは社会人であれば誰もが知っている。社会問題を解決するのも良いがそれで家族を路頭に迷わすのはどうだろうか?その大規模開発事業は確かに意義があるものかも知れないが、その中途に数々の人的災害や破綻を起こしてでもやり切らなければならないことだろうか? 否、つまりはバランスである。
筋肉は痛めつけることで超回復を起こし、それによって以前よりも高いポテンシャルを得る。しかし大事なのは適度な休息と充実した食事だ。それがなければひたすら筋繊維が切れまくるだけである。最後には怪我をして動かなくなる。
トレーニングにはキープや調整のためのトレーニングとパフォーマンスを向上させるためのトレーニングがある。かける強度の違いだ。 パフォーマンスを上げたい人は強度の高いトレーニングをする。それは90分間走りきれる身体であったり、一試合200球投げても壊れない肩を作りあげるためだ。 逆に健康維持を目的としたトレーニングは強度は軽く、とにかく怪我をしないこと、楽しく続けられることが重要だ。
スポーツをやるべきかやらなくても別に良いかというと様々な分野、様々な専門性によってそれぞれ言いたいことがあるだろうと思うが、社会人リーグまでサッカーをやっていた経験から言うと「必ずしも必要とは思わない」と考える。
例えば少年期を思うとやった方が良い。スポーツがもたらす効能として、身体コントロールの向上だけではなく特に精神的な成長を助けてくれる。チームワークに対する学びであったり、勝つことの喜びと負けることの悔しさであったり。 これらは早ければ早いほど良い。 しかし青年期以降に目を移すと、その学びのフェーズは終わっている。つまり「そのいう打算を超えた何か」がなければスポーツを真面目にやるモチベーションなど無いのだ。
例えば、ある本で「30代からは自転車」というセリフがあった。言うところにイケイケで細かい失敗もなんのそのでやってきた20代が終わり、社会のまま成らなさに囲まれた中で、自分が自分の意思でコントロールできる何か、やったらやっただけ応えてくれる、サボったらサボっただけその結果が返ってくるものが心地良い、どのことだ。
至極健康志向な考え方としてすこぶる素晴らしい。
人生の中心はおおよそ大抵のひとにとって「仕事」と「家庭」だろう。だがそれらはままならない。従ってそれらを外れたところでヘルシーな何かを得て、自らの目的意識の向上や達成による充実などホルモンの調整を的確に行う、というのはとても客観的自己評価およびインテリジェントに溢れる。 ここで酒やギャンブルに行くとより一層ストレスが溜まったり陰鬱になったり、場合によっては身体を壊すだけだ。
しかし、そのような「彼ら」に「うちのチームでガチでサッカーをやらないか?」と聞いたら当然答えはNoだろう。 身体もできてるし持久力もある。しかも高校時代は全国にいったらしいじゃないか。何故やらないの?とか思うかもしれないが、理由はこういうことだ。
やる必要がない
要するに必然性=彼らの中でのモチベーションが著しく不足しているわけだ。 ひとの内面は他人が推し量ることはできないし、変えることも恐らく難しいだろう。これは社会人チームでメンバーを勧誘をしていた時に強く感じたことだ。 実際社会人リーグでは毎週末のように試合がある。自衛隊のように毎日当たり前のように厳しいトレーニングを積んでいる人もいれば、定時勤務で夜であれば基本的に毎日身体を動かせる人もいる。また私がそうだったように、深夜残業もあれば過酷な海外出張もある中で週末這うかのような思いとギリギリの体力でどうにかピッチに立たなければならない人もいた。 それでも試合は始まる。 ここからは真剣勝負である以上、心技体の筆舌に尽くし得ぬ応酬があり、そして、90分後にはどちらかが勝ち、どちらかが負ける。
言い訳はすこぶる健康的ではない。 やるべきことはやるべきだからだ。もしやらないのであればそれ相応の理由を持ってして封殺すべきだ。 ビジネスモデルや新規事業を着想し、それの実現に向けて動くことがある。例えば社内で。それでもなかなか上手くいかず結局のところ「やらないBOX」に入ってしまう。そんなときそこに「それ相応」の理由が見いだせなければすこぶる不健康だと言わざるを得ない。 しかし社会人にはいくつもの手段がある。 自転車をしても良いし、ジョギングをしても良いし、もっと追い込みたければトライアスロンなんてしても良いのだ。
それでも、やらなければならない時は今だ!
と思う時はある。必然性が充実している時、と言えるかもしれない。 そういう時はぜひ腹をくくって歩を進めて欲しい。

ジェフベゾス
変わるもので儲けるのは難しい。何故なら答えがわからないからだ。
もし単に儲けたいだけなら、変わらないもので安定的に儲けるべきだ。

九頭龍 'kuz' 雄一郎 エンジニア/経営者, 日本の大企業からシリコンバレーのスタートタップまで多種多様な千尋の谷に落ちた経験を持つ。 株式会社ClayTech Founder/CEO, 監査役DX株式会社 Co-founder/CTO, 株式会社スイッチサイエンス取締役, 株式会社2nd-Community取締役, 東北大学客員教授, 東京工業大学非常勤講師, 武蔵野美術大学非常勤講師, 他複数社の顧問など。

シェアする